入門書としては。 入門書としては最適であるように感じたが、あくまでそれ以上ではないよう思える。入門書として用語説明や、項目ごとの文献紹介はとても親切でわかりやすい。紹介されている文献も、本書から自分の興味に合わせ、しかもレベルアップができるようなラインナップになっていて、自分の世界を広げる目的を持っている人に対しては良書と言える。 しかし四人による共著という事で、私は著者によってやや解釈に疑問を持つ部分があった。特にPart1。「スクールカウンセラーが生徒の相談にあたり、字幣行は学校事務員が受け持ち、清掃・営繕業務も専門の職員に委ねている」アメリカの体制と比べ日本を筆者は「未発達」と呼んでいるが果たしてそうだろうか。 確かに分業を行えば、教師のバーンアウトは減り、仕事も楽にはなるであろう。担任の教師がカウンセラーに生徒の相談を任せる事は良い事なのだろうか。現在教師の事務的な仕事が多すぎて、生徒と接する時間が少ないというが、本来ならば生徒との相談は、一番情報を持っている担任が行うべきではないのか。専門家の壁に安易によりかかってはいないだろうか。 社会学という学問は物事を客観的に観察する事に長けているため、問題も冷静な視点で眺める事ができる。しかし実際、どこまで教育のような問題を客観的に見てよいものか疑問に思う。前述のカウンセラーの問題なども、逆に問題を棚上げにしているように思う。 バーンアウトを減らす事も大事であるが本来の教師の役割を見つめてこそではないだろうか。業務分担も一長一短。多様化する現代にこそ、その一長一短の意味を本当に考えなくてはいけないのではないだろうか。
足がかりになる一冊 教育には「個人のため」という性格がある一方、「社会のため」という特性も併せ持ちます。 教育と社会との関わりを取っ掛かりに、今私たちが生き、これからも生きていく社会のあり方とその行方を考えるのが教育社会学ではないかと思います。 「常識」の問い直し方・見直し方の名前のとおり、普段見過ごしがちであったり、常識と思っていたりする事象の「常識」を疑う。疑うと言えば聞こえは悪いですが、「常識だ」とやり過ごされている中にこそ物事の本質は隠されている場合も多いのではないでしょうか。物事の本質を正確に捉えること無しに、有意義な議論をしたり、問題対処へ有効な方策を考えることはできないのではないかと思うのです。 本書は分かりやすい記述なのでサクサクと読み進められ、それでいて「常識の問い直し方」を教えてくれる、手ごろな入門書のように思います。読むだけでも目からウロコが落ちる思いでした。 特に、子育てと親の自己実現の項目はいろいろ考えさせられました。とっつきやすいので、教育を勉強する人だけでなく、教育に多少でも関心のある人にとっても、また違った視座から物事を考えるきっかけをくれる本書はおススメです。 各章の最後にある「図書紹介」も解説が非常に丁寧です。自分の興味のあるテーマを掘り下げていくための足がかりになる一冊と思います。
「教育」について、考える幅を広げる一冊 社会学という視点から教育を丹念に分析し、ありふれた言説を丁寧に読み解いていく。そういった教育社会学の面白さを、本書からは存分に味わうことができる。4人の論者はそれぞれ違った視点から教育にアプローチしているが、一連の議論を通じて到達しようとしている目標は同じであるように思われる。それは、「理想論だけで教育は語れない」ということである。教育改革が数々の批判を受け、実際に失敗しているとしか言い様がない中、現実を直視し、理念倒れしない考え方を本書から得た気がする。
第一歩にふさわしい。 参考・引用文献がとても豊富です。過去にどういった研究が あったか、どういう研究者がいたかを多少知ることが 出来るので、教育社会学、あるいはその他の教育に関連する 分野にちょっと興味があるという人にとってのとっかかりとして よい本だと思います。
学歴社会は世襲制より平等? 教育という営みの中に見られる社会的な側面を「社会学」的な 客観性をもって観察した本。。という感じでしょうか。「社会学」 とは「常識」「当たり前」と思われている部分に疑いの目を向ける ことから始まるという観点から、教育における「通例」「常識」 「トレンド」等を国際比較したり、統計などで客観的に眺めている。 切り口は、いじめ、中学生になることの難しさ、教師の苦悩、お受験 など加熱する幼児教育、ジェンダー、学歴社会などで、どれも良く聞く 身近なことなので読みやすいし深い。「学歴社会は世襲制より平等?」 なんていう疑問を持った事がある方はぜひお読みください。
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